かーくんとしょー

ラ・ラ・ランドのかーくんとしょーのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
3.4
アカデミー賞史上最多ノミネートなど話題になっていたため、地上波初放送で鑑賞。
始まり方はわかりやすく「ミュージカルです」感が出ていて、ミュージカルが苦手だったり慣れていない人は引いてしまいそうで個人的に好きになれない。

が、そういう人もそこで挫折せずに最後まで観てほしい。全体を通して、歌や踊りのシーンはそこまで多いわけではなく、普通の映画のように観られるはず。
一方で気をつけてほしいのは、この映画は予告編やテレビCMだと明るい映画かのように見えるが、内容はむしろ暗めであること。元気になりたい時に観たいタイプの映画ではない。

主演のエマ・ストーンは日本人受けする顔ではなく、あまり女優らしい顔とも思えない。その分、売れない女優役はとても似合っているし、売れてしまった最後は不相応な感じに見えた。
とはいえ、作品内では売れない女優を演じた時間の方が圧倒的に長く、葛藤を抱え込む役柄なので、典型的な美人女優ではダメだったろう。

ストーリー展開は主役二人のキャリアの成功と不成功に寄り添って進むが、作品としてはやはりラブストーリーこそが主であり、愛し合う二人がキャリアと愛の間で葛藤する姿には感動する。
そして、その葛藤という「言葉では言い表せない」想いが、歌という〈非日常〉的な形を借りてようやく言語化されるというのは、ストーリーと表現技法の見事な一致だ。
ここから「ミュージカル映画でなければこの作品はいけないんだ」というのが強く伝わって、ミュージカルが好きでなかったり不慣れな鑑賞者に対しても、誠実な説得力を持っている点は高く評価したい。

written by K.
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