どこまでもトラディショナルなミュージカル映画。
古き良きアメリカを今風のポップに再構成した世界観、古典作品へのオマージュが効いた台詞回しや演出。
最後の"Made in Hollywood"が抜群に効いてる。
美しく、出来の良い夢の生まれる場所。
恋の始まる兆し、付き合いはじめの夢のような時間、2人が過ごした甘い日々のシーンは、ハリウッドが培った表現技術の粋を尽くしたような美しさ。
映画の後半は困難に対峙するシーンが多い分、その短くも幸せな瞬間が心の中で尾を引いていく。
最後の怒涛のクライマックスを過ぎて、
この過去の幸せに打ちひしがれる感覚は
古典ミュージカルでは中々得られない。
これは確かに傑作! あんなに流行っただけある。ラストに賛否両論あるのも分かる。
鑑賞後、この"打ちのめされ感"をしばらく引きずりました。
……ただ、全盛期のそれに比べると歌唱シーンが地味なのでミュージカル映画としての見応えは少し弱めかな。
普通にミュージカル映画が好きなのでちょっと物足りなかった。
セブが自分の譲れない部分は守りつつ、ちゃんと時流に適応出来たのはちゃんと基礎があってのこそ。真面目なジャズミュージシャンって、らしくないけど損ではないんだなと思った。