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LION ライオン 25年目のただいまのytmkのレビュー・感想・評価

5.0
グドゥ…シェルー…
サルーのインドの兄弟に…家族に…切なさが止められない…

たった5歳の少年は、自分に降りかかる回避せねばならない数々に、敏感に懸命に、そして賢く対応する

彼には冗談みたいに巨大すぎるスプーンが、まだ小さ過ぎる彼の体と、それでも曇る事も腐る事もないまっすぐで大きな瞳を際立たせる

手のひらをゲンコツにして、肘を直角にして、全身で、振り返りもせずにあてもなく、差し伸べられる腕もなく走り続けるサルーの姿が、何度も私に唇を噛み締めさせる

美しい英語のアクセントや、ピンと伸びた背筋、曇りない笑顔、そして、手よりもフォークの方が上手に食べられる様になった、青年のサルーに、mammyとdaddyがどんなに大切に、丁寧に、愛で包んでくれていたかを感じる

隠していないのに、消えてしまったかの様なサルーの過去、スーとジャックが養子をとった理由、サルーが掴んだ答え、LIONというタイトル…そのどれもが、これまでに感じた事がない程に、私を内側から感動で震わせ続ける、思い返してもなお

故郷を歩くサルー、遠すぎる記憶を辿ってきたけれど、それは頭だけに残るものじゃない、今でも触れる感触や、焼きついた景色、胸に確信出来るほどの兄と母の苦しみ、過去と現在がシンクロした時に、やっと自分が自分自身に辿り着いた

デヴ・パテルが感動的な程素敵な青年になった

エンドロールにサルーの人生を噛み締めて、震える感動を落ち着かせて、味わいが深いんだと染みる…
エンドロールはどうか最後の最後まで
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