Keiko

イット・フォローズのKeikoのネタバレレビュー・内容・結末

イット・フォローズ(2014年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

従来のホラー映画の掟を真っ向から否定する作品。ファイナルガールは処女ではないし、性行為をしても殺されない。むしろ、性行為をすることでしか“それ”から逃れられない。

思春期の漠然とした不安をそのまま視覚化したような映画だった。
この映画の中では“それ”は霊的な存在として主人公たちを追いかけてくるけど、現実にも、10代の頃はそういった“何か”に追われている感覚がある。幽霊とかではなく、ただ理由もなく「死ぬかもしれない」みたいな不安だ。人によるかもしれないけど、少なくとも私にはあった。
その不安は大人には打ち明けられない。ごく一部の親しい友人とだけ共有するものだ。

その不安と性行為を結びつけて描いたのが現代的だと思った。実際に、情緒が安定しない若者が性を心の拠り所にする例は珍しくない。
それを、従来のホラー映画なら悪いこととして描いただろう。

最後の最後、よく見てみると、後ろの方から誰かが後をつけているように見える。同じ方向に歩いているただの通行人かもしれないし、あるいは“それ”かもしれない。
Keiko

Keiko