ノラネコの呑んで観るシネマ

山河ノスタルジアのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

山河ノスタルジア(2015年製作の映画)
4.4
1999年のある三角関係を起点に、過去、現代、未来の彷徨える中国人を描く。
1999年の過去に2人の男性に想われたヒロインは、2014年の現代に、どちらを選んでも何かを得て何かを失う現実を突きつけられる。
そして2025年には、次の世代が葛藤を抱える。
ゼロ年代の中国の爆発的経済成長の時代を経て、これからの見通しの悪い未来、中国人はどこへ向かうのか。
山西省の古都・太原から南半球メルボルンへ。
国境のくびきを逃れ中国語すら忘れた世代もまた、自由すぎる閉塞の中で父母の世代と同様に未来を模索している。
故郷となる山河や喋る言語は変わっても、結局そこにいる人間は変わらないのかも知れない。
1999年のある歌が、2025年にリンクする仕掛けは見事。
ある意味、ジャ・ジャンクーの中国人論と言える。
しかし彼はもしかして、ポン・ジュノが好きなのだろうか。

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