しんたにゆき

山河ノスタルジアのしんたにゆきのネタバレレビュー・内容・結末

山河ノスタルジア(2015年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

1999年と2014年と2025年(の画面の大きさも)。
また「変わる」「変わらない」の話だ。変わらないように強く欲されたものだけが、運がよければ流されずに少しだけ残っていて川底に光るのが見える、みたいなこと。

ありとあらゆる断絶の詰め合わせ。変化による断絶、距離と時間と速さによる断絶。友人、恋人、夫婦、父と娘、母と息子、手放した街、新しい街、戻ってきた街、遠い外国、故郷。時間が経てば経つほど、生きているほど、二度と元に戻ることのない断絶が深く大きくなっていく。小さい打ち上げ花火が炸裂し、ダイナマイトは爆発し、飛行機は墜落する。

この人の映画に蔓延している諦念は、また言ってるけど国土が広すぎることに由来していると思うな。もうどうにもならないことが多すぎる、速さも距離も時間も。言語さえも。
けど自分にとって必要なら引き返す道を選ばなければいけない、結果的にだめでもそうせざるを得ない、という、一旦諦めた上でのやっぱりやるみたいな、逆説的な希望があるところが、なんか救いと勘違いしてしまいそうなんやけど絶対に違うんよ。そうせざるを得ない人だけがそうするんであって、そしてそれは(この世界では)、そうしない選択肢の続きでしかない。

いつかぜったいに別れる。時間が経てば。でもそれのなにがわるいねん。会いたくなったらまた会いに行けばよいのよ。で一生会いたくならんかったなぁ、て死ぬ。