Nanami

知らない、ふたりのNanamiのレビュー・感想・評価

知らない、ふたり(2016年製作の映画)
4.0

映像の色合いと、登場人物たちの絶妙な
表情や視線の動きの描き方がとても
緻密で、リアルで、よかった。

中盤までのだらりとした音のない時間の
流れから、急に物語が加速して音も増えて
いく、という構成に、かなり引き込まれた。

恋人がいるのに気になる人ができて
しまったり、それを相手に伝えられたことが
きっかけで別の人が気になり出したり、
好きな人に同じように好きな人がいることを
知って、想うことしかできなくなったり。

そんなどこにでもある、誰もが経験した
ことのある感情の些細な動きが丁寧に、
的確に描かれているのが、今泉監督の
作品だなあ…と思った。

シーンとして好きだったのは、レオンが
お会計の時に、702円ぴったり出して
お釣りがなかった場面。もどかしくなった。

映像として心を強く掴まれたのは、
レオンがおむすびを作っている手元。
今まで見たどんな塩おむすびよりも
おいしそうに見えた。。

ジウと寄りを戻した直後にレオンに再会した
ソナの表情、職場の人たちにアイスを買った
上に「恋をしました」と言って笑うレオンの
表情が、特に、心に焼きついている。

なんだか心にかすかに春風が吹いたような
気がして、駆け出したくなるようなラストが、
この作品の中で一番好きでした。
Nanami

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