もちー

マネー・ショート 華麗なる大逆転のもちーのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

リーマンショックを予見したトレーダーが債権の空売りで儲ける話、と言えば一言で済むんですが。
資本主義経済とその破綻について、リーマンショックという最大のサンプルを用いて説明してくれるとっても勉強になる映画でした。

リーマンショック自体は、住宅市場の過度な安定とその債務者の支払い能力に乖離が大き過ぎて、金利が高くなったら払えなくなって市場が一気に破綻する、というシンプルな問題。
ただ、それを政府や格付け会社や銀行が「大丈夫、破綻なんてしないからウフフ」って言い続けた結果、ほとんどの投資家達もそこに気付けなくて、破綻自体がとんでもなく大きくなってしまった事例。

サブプライムローンの申請調査がザルで、払える能力が無くてもローンが組めてしまった、という描写や、それを利用して家をいくつも買っているストリッパー、ローンのプラン立てをしている調子に乗りまくりな営業マンなどが描かれていました。
映画で脚色している部分もあれど、事実なんだろうな…。

構成として、リーマンショックが起こるまでの描写が長くて起こって以後の話はほとんど描かれません。
数値として何百万人が家を失い、何百万人が失業した、と言われて終わり。
そこに映画の中で踏み込めるほどアメリカの国民は立ち直れていなくて、今もまだ失業したままだったり家がないままその日暮らしをしているのかも、と感じました。
そこを描くのが本旨じゃなかっただけかもしれないけれど。

それだけの問題を引き起こしたんだから金融界の癒着やら闇やらが露見して逮捕者続出しました、という理想オチと、逮捕者はひとりだけで、政治資金投入により銀行マンはボーナスもちゃんともらってましたよっていう現実オチを両方描いていて、そこ自体はサラッと終わらせていたけれど、映画を通して伝えたいことのひとつじゃないかな、と思いました。

資本主義経済は弱者と強者の差が大きくなればなるほどにパイが大きくなるものだから、みんな豊かで幸せハッピーっていう結末はありえない。
だからこそ、行き過ぎた資本主義社会の歯止めの役割を政府が担わなくてはいけないんだよな、と再認識しました。
ちゃんと選挙に行こう。

映画の中で、リーマンショックで儲けるということはアメリカ経済が破綻し、国民(特に移民)か大きな被害を被るということだ、というようなセリフがあります。
金融業界の奴らは人を数値でしか見ていない、そこにその数だけ人生があるのに、と。
金融に関わらずどんな業界でも、一人ひとりの人生に関わるんだぞって意識は忘れちゃダメだなと思いました。


映画の中では専門用語がばしばし出てきて、わっかんねー!って思ってるとそれを著名人が解説してくれます。
セリーナゴメスがCDOについてカジノを例に説明してくれて、ちょっと面白かった。

あと、4人のトレーダーって言ってたけど、重要人物っぽい人4人じゃないじゃん!って思いました。笑
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