華麗なる大逆転、から連想される爽快感や達成感を、登場人物が誰一人得ていないのが印象的。
世界経済の破綻という地獄の扉が開くことを確信することで大金を手する、アンビバレンツに彼らは苦渋を舐めるような顔をする。この裏で何人が失業し、家を失い、首を吊ったのかと考えながら。
前半から中盤にかけての絵はポップでコミカル。役者に「このシーンは創作」と言わせてみたりと、メタい作りになっている。このままアメリカン・ドリームを達成するのかな、と思いきや、後半で色調は一転。灰色の空、灰色のビル、灰色の紙幣。鉛色の世界で矢継ぎ早に明かされる真実と現実に胃を抑えた。
予告もポスターもロクに見なかったためクリスチャンベールとスティーブカレルの変貌に気づかず「あの二人って何処に出てんだろ…」と思いながらエンドロールまで見ていた。