EDDIE

マネー・ショート 華麗なる大逆転のEDDIEのレビュー・感想・評価

3.9
サブプライムローンの恐ろしさ。投資の面白さと怖さを同時に教えてくれる良作社会派ドラマ。何よりも豪華キャストが目を見張る!

「世紀の空売り」と呼ばれ、かつて世界を震撼させたサブプライムローン問題を予見した金融業界を生きる男たちの物語。
経済用語、投資用語が次々と矢継ぎ早に出てくるため、劇場公開時はちんぷんかんぷんでした。おそらく経済に疎い方は純粋には楽しめないかも。キャストが豪華ゆえ、その難解さに怒りを表す人さえいそう。
だけど、改めて観ると基本的な用語は劇中に解説してくれるし、ちょっとでも経済の知識さえあれば十分に楽しめる作品でもあります。

近年日本でも「かぼちゃの馬車事件」という不動産投資家を震撼させる事件が起こりました。サラリーマン投資家と呼ばれる不動産オーナーに対してサブリースの支払いが困難になり、投資家たちは稼げると信じていたにも関わらず借金を背負ってしまうことになったのです。背景にスルガ銀行がとにかく融資をしまくったことにあります。
不動産会社や銀行員の言うことを鵜呑みにしたことで結果的に損をするどころか借金の返済に苦しむことになってしまうのです。情報弱者はいつの時代も苦しむことになる、そんな教訓を教えてくれる事件でした。

本作はサブプライムローン問題を背景に、アダム・マッケイ監督がエンタメ要素も織り交ぜながら実にわかりやすく面白くこのサブプライムローン事件の全容を教えてくれます。
「バイス」でも感じましたが、この監督は他の監督であれば難解でシリアスな内容になりがちなテーマもかなりポップに魅せてくれます。演出が巧みですね。

役者陣も豪華。クリスチャン・ベール、スティーブ・カレル、ライアン・ゴズリング、ブラッド・ピットら4人が主要キャスト。なんですか、こんな布陣、どうやったら集まったんですか。
脇を固めるのも今考えるととても豪華。トムホスパイダーマンのメイおばさんで有名なマリサ・トメイ、ネビュラやジュマンジ 続編でお馴染みのカレン・ギラン、ちょい役でマーゴット・ロビーやセレーナ・ゴメスも出演しています。
もうこれだけで観る価値ありますよね。

それにしても邦題はイマイチ。
いくら原作が「マネーボール」のマイケル・ルイスだからといって、原題“The Big Short”と合わせて「マネーショート」って…。
ウォール街を出し抜いた世紀の空売り。彼らの綿密な戦略、心理戦をとくとご覧あれ。こういう作品観るともっと経済の勉強しとけばよかったなーってなりますね。

※2020年自宅鑑賞12本目
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