Omizu

マネー・ショート 華麗なる大逆転のOmizuのレビュー・感想・評価

3.9
【第88回アカデミー賞 脚色賞受賞】
リーマンショックを契機とした世界金融危機の際に"負け"に賭けて大きな利益をあげた4組の男たちを描いたコメディ。原作は『マネーボール』の原作者でもあるマイケル・ルイスの「世紀の空売り」、そして『バイス』のアダム・マッケイが監督を務めた。

まず邦題の副題が誤解を招く。大逆転とかいう話ではない。この4組はそもそも最後まで基本的に別々であり2組を除けば会いもしない。コメディでありながら終わってみるとどこかしんみりとした印象を残す。

格付け機関の場面が全てを表している。詐欺まがいのことが横行してるのは分かっていて誰一人責任をとらない。私たちを責めるあなたたちだって経済破綻につけこんで儲けるつもりなんでしょ?そんなの偽善者だ、と言われる。

4組の男たちは別に仕組み自体を変えようとかするわけじゃない。そこがこの作品の問題であり、リアリティでもある。

またこの作品の裏返しが『ハスラーズ』である。『ハスラーズ』を観た時点では「ウォール街の人達は裁かれなきゃいけない程の罪なのか?」と分からなかったんだけど、これを見て紛れもなく詐欺行為をしていたのだとハッとした。そんな経済破綻を起こした人の大半は裁かれることなくのうのうと暮らしている。

そんな世界の真実に気付き反抗した人々を描いたのがこの作品と『ハスラーズ』であったのだ。
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