シャブロル映画でしか味わうことのできない感情がある
このひとはほんとうに映画が上手い…と思った
シャブロル映画の男、は、トリュフォー映画の男のように愛らしさを感じさせるでもなく、ブレッソン映画の男のように超然としているわけでもなく、ロメール映画の男のように淡々と開き直っているわけでもない、
ただその痛々しさを、宿命のようにサスペンスに捧げている…?
だから哀愁や内省や呆れ笑いもなく、そういった余韻は、すべてサスペンスというフレームに断ち落とされて差し出され、物語の内容や人物の内面に比して清々しいくらいの正確さでモンタージュされる。