Jeffrey

バクスター、ヴェラ・バクスターのJeffreyのレビュー・感想・評価

3.0
「バクスター、ヴェラ・バクスター」

冒頭、千年前の大西洋岸の森。領主の戦争や十字軍で夫が遠征し、妻たちは何ヶ月も家で暮らすことが多く、孤独の極みで彼女たちは樹木、動物、海に話しかけるようになった。魔女との共同生、食堂、リゾート地。今、無限反復的旋律が新録の中に映る…本作はマルグリット・デュラスの当時出版されていなかった小説"ヴェラバクスターオレスプラージュドラトランティック"を映画化したもので、この度BDが発売され初鑑賞した、彼女の作品スタイルは基本的に同じ立ち位置であり、非常に静寂で、退屈な映画である。デュラスは劇的水準の映画を作るのがあまり好きではないと思っていたが、この作品では俳優がカメラの前で役を演じたり、同時録音で会話したり、物音が入り込んだりしている。彼女のフィルモグラフィを全て観てるわけではないため、どのような作品が他にあるか知らないが、本作に限っては喜劇的な作品に感じる。

本作に限ってはラテン音楽の演奏があり個人的には良かった。町外れの公園地帯のある別荘を尋ねる場面や、ホテルの食堂のシーンの音声の演出、女性が画面外から質問をしたり、監督の声でナレーションされたり、色々と前衛的である。なんだろう祝祭的な映画であるとも感じた。とりわけ耳に残るのは音楽であった。しかも不思議な共同性や魔女の話が基本的ベースとなっていて、なかなか風変わりである。さて、物語は近代的で邸宅でヴェラ・バクステルは、1人の女に語りかける。それは夫婦間に起こった出来事。夫が見知らぬ男に金を払い、ヴェラに姦通させたことである。デュラスは、夫に忠実でいて自らの欲望に苦しむ主婦ヴェラに中世の魔女を見いだす。主演のデルフィーヌ・セイリグの力強い演技が光る。
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