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二重生活のodyssのレビュー・感想・評価

二重生活(2016年製作の映画)
2.0
【無惨な失敗作】

哲学の大学院生であるヒロイン(門脇麦)は、修士論文のテーマ設定に悩んでいる。

指導教授(リリー・フランキー)から、見ず知らずの他人の跡をつけてその人物を観察するという提案を受けた彼女は、偶然、書店で自分のアパートのすぐ近くの豪邸に住んでいる男(長谷川博己)を見かける。男は出版社の部長で、作家のサイン会に付き添って来ていた。彼女はその男の跡をつけて行動を記録することにした。男は、美人の奥さんと可愛い女の子との三人暮らしで、亡き親から譲られた豪邸に住み、何自由ない暮らしぶりに思えたが・・・

残念な出来。
そもそも、設定に無理がありすぎる。哲学の修士論文を書くのにこんな課題を提示する哲学教授がいるわけがないでしょ。大学院生の行動は犯罪すれすれなのだから、下手をすると指導教授自身の首を絞める結果になりかねないじゃん。そんな危ない真似を大学教授がするわけがない。

また、男を追跡する大学院生の思考の過程は、とても哲学を専攻しているとは思えないほど幼い。

加えて、ヒロインはイラストレーターの若者と同棲しているのだが、部屋に本がろくにない。哲学の大学院生なら、複数の書棚に本がぎっしり詰まってなきゃおかしいと思うね。

さらに、追跡される男の意外な顔というのが、非常にありきたりなのである。意外性のかけらもない。

こんな映画を評価する奴の気が知れない、と言っておこう。
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