フィーカ

二重生活のフィーカのネタバレレビュー・内容・結末

二重生活(2016年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

完成披露試写会にて、映画「二重生活」を見てきました。

原作は未読、事前にあらすじと予告編だけ見ただけだったので、最初は主人公と尾行対象者の不倫などのドロドロしたストーリーなのかと思っていましたが、全く違っていました。
映画を見ているというよりも、ドキュメンタリーを見ている感覚が強かったです。
主人公珠の目線、通行人からの目線、監視カメラからの目線‥場面によって様々に変わるカメラワーク、演出がとても面白く、臨場感溢れるものでした。
まるで開けてはいけないパンドラの箱のような、他人の秘密を知ってしまった時の罪悪感、でも覗いてみたい、興味が抑えられなくなる気持ち、最後はどうなるんだろうとドキドキしてあっという間の2時間でした。

原作は読んでいないので、珠というキャラクターの心情がいまいち分かりづらい箇所もありましたが、恋人がいても空っぽのままの心、本心で信用できずそんな自分が嫌なのにどうすればいいか分からない所は共感が出来ました。

主人公は珠ですが、石坂、教授、石坂の妻等他のキャラクターの演技も良かったです。
特に浮気に気づいているけど幸せな家族を装っていて、それが崩れた時の妻の行動、演技はリアリティがありました。
長谷川さん扮する石坂のキャラクターも興味深かったです。
敏腕編集者で部長、地主、可愛い子供と奥さんがいるのに、彼もどこか満たされないものがあったのでしょう。
どうして不倫したのかと珠に聞かれ、自分で考えろと言った彼の思惑など深い所も見てみたかったです。
不倫相手に正論しか言わない、と言われていましたが、もう少し人間らしい感情剥き出しの場面も見てみたかったのは、ただ単に長谷川さんのファンだからかもしれませんが。

時折映る監視カメラの映像と不気味に映る管理人さんが少し怖かったです。
人は誰しも気がつかない所で他人に監視、尾行されているのかもしれません。

一度目は珠の目線で、二度目は石坂の目線、教授の目線で、など何度も観たくなる不思議な映画でした。
面白かったです。
フィーカ

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