いく太郎

二重生活のいく太郎のレビュー・感想・評価

二重生活(2016年製作の映画)
3.6
哲学専攻の院生が、修士論文で「理由なき尾行」を書き上げるため、見ず知らずの他人を尾行するというテーマの話し。
はじめは抵抗のあった尾行を行う内に、彼女はすっかりその世界にのめり込んでいく。
対象者を尾行する中で対象者の秘密を知ることになる主人公。
しかし、その行動が活発化していくと、
やがてその尾行そのものが今度は彼女自身の秘密となり、今度は同棲する相方が、彼女に不信感を持ちはじめる。

他人の秘密を知ることは、
その世界に自分に重ね置き換えることで他人の本当の姿を知り、相手や自分をかけがえのない存在へと導く唯一の方法。

秘密を持つこと、それは自分が自分自身に付加価値を見出すための手段なのかもしれない。

邦画らしくラストはフワッとフェードアウトしていく感じで少しもやっとしてしまうのも確か。キュッと締まった話しではないけど、哲学を題材にしているので、何を感じるかはあなた次第という投げかけもまた乙なのではとも思う。

門脇麦の下手くそな尾行と大人しい顔して隠しきれてないフェロモンが見所。
あと音楽がとても良いです。

原作とはまた違うらしいので、
そちらもぜひ読んでみたい作品。
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