AkaiKitsune

二重生活のAkaiKitsuneのレビュー・感想・評価

二重生活(2016年製作の映画)
2.3
教授は、珠の中に自分と同じく、暗く深い空虚な穴を見た。だからこそ、珠に自分自身で「生きるとはなにか」の答えを見つけて欲しいと願ったのだろう。

しかし、その不安や満たされない想いは、石坂が喝破したように、非常に陳腐で、身勝手にすぎない。

他人が幸せに見える、ということさえも、教授が示したように、それは見る側の思い込みや、見せる側の意図によって、易々と事実であるかのように作り上げることができる。

教授は、珠の目に幸せな他人として映ったこと純粋に喜び、そして同時に絶望し、この世を去った。

珠は、他人を理解するという通過儀礼を経験して、いまやっと、自分自身を理解し、愛する、もしくはありのまま受け容れるという道を歩き出せるようになったのではないか。
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