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二重生活のriexkawaのレビュー・感想・評価

二重生活(2016年製作の映画)
3.8
ソフィ・カル「本当の話」をモチーフに、直木賞作家・小池真理子が創作した長編小説が原作。
「実在を実感する時間と体験について」というテーマから「人間の本質とはなにか?」という修士論文を書こうとする主人公が研究のため、教授より提示された対象と接触してはいけないとする『哲学的尾行』。対象から、世間から見つかる危険性を鑑みながらも、主人公は奥へ奥へと進んでいく…。
ツッコミ所も多々ありますが、それ以上に面白さの方が優っていた作品でした。誰もが皆、誰かを見つめ、見つめられている。他人の生活や行動に気を取られるあまり、今ある生活を蔑ろにする。
『哲学的尾行』とは他人の場所と立場を置き換えること。即ち、互いの人生の情熱、意志を知ること。そして同時に、永遠に分かりあうことは出来ないという隔絶を知ること。
こうした見解が正しいのかどうかも分からない難しい作品故、人を選ぶかもしれませんね。ただ、久々に見た邦画の中ではとても面白かったことは間違いない。
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