のこ

最愛の子ののこのレビュー・感想・評価

最愛の子(2014年製作の映画)
4.5
アマプラレンタルにて。
初見かと思いきや、以前観たことがあったようだ。

「3歳の我が子は、3年後、よその子になっていました。」と本作のキャッチコピー。1980年以降の中国で大きな問題となっている児童誘拐をテーマに、2008年に誘拐され行方不明になった男の子が3年後に発見されたという実際の事件が物語のベースになっている。

「生みの親」「育ての親」の葛藤に焦点を当てた映画は他にも知っているが、本作はひとつの国としての社会的問題にメスを入れた作品で、それだけにスケールの大きさを感じる。公開にあたっては、中国当局と揉めないようにかなり慎重にことを進めたとのこと。児童誘拐や人身売買のみならず、ひとりっ子政策、出稼ぎ、経済格差、男尊女卑などの中国内の社会問題も自然に盛り込まれていて見事。

何より俳優さんの演技がすごい。全編ノーメイクで挑んだという主演のヴィッキー・チャオを始め、子役までみな素晴らしい。

ちなみに2021年12月6日、作中にも出てくる「行方不明児童を探す会」リーダーの孫海洋さんご夫婦が、4歳の時に誘拐された息子さんと14年ぶりに再会できたそう。ただ、息子さんは養父母と暮らすことを望んでいるという。当人にとっても苦渋の決断かもしれないが、ご両親のことを思うと居た堪れない。奪われた時間は戻ってこない。
のこ

のこ