kokoko

最愛の子のkokokoのネタバレレビュー・内容・結末

最愛の子(2014年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

鑑賞の1ヶ月前にディーン君がいた瞬間を観て、そのときの予告編で流れた「最愛の子」
あまりにもセンセーショナルすぎる予告にぜったいに観に行くことを誓った。


実の息子を奪われあげく再会した時には存在を忘れられ、自分らの目の前で別の親の名前を叫ばれ殴られた両親と、何も知らず自分が育てた子を目の前で奪われた母が子の名前を叫び続ける予告を見て、それぞれこの両親はどんな想いでいるのだろうと胸が抉られるような思いだった。


しかしいざ本編を見ると、想像以上に物語はサラっと進み、どちらかと言うと軽い音楽に乗せて話は進んだ。
正直期待していたものではなかったとガッカリした。
ただ実際に起きた事件だから本人の意思もあるし、ヘタに話を作って語らない姿勢なのかと思うとむしろ好感を覚える。


ただいちばんガッカリしたのは、誘拐されてきたとは知らず育てた息子を奪われたほうの母親(リー)が息子に関してはわりと早くスッパリ諦め、彼女は誘拐ではなく捨て子だったからと娘を取り戻すことだけに奮起する所。
確かに罪を犯しているのだからそれ以上何もできないというのは当たり前かもしれないが、ほんとうにあんなにすぐ割り切れるのか?
確かにその後街で見かけた息子に駆け寄り人々に殴られながらも抱きしめるシーンはあるが、それでもいまいち伝わりずらい部分があった。
もう少し丁寧に描いて欲しかった思いが残る。



ただ、この映画の中で「わたしたちの子供はひとりしかいません。新しい子供を作るなんてことはせず、居なくなった子供を探し続けましょう」と言っていた被害者の会の会長が、主役のティエンら元夫婦の元に息子が帰ってきたパーティをしていたシーンで、話があると立ち上がり「妻に子供ができた」と語りその後ひとり物陰で泣くシーンはほんとうにたまらなかった。
子供を授かることが、こんなにも罪悪感を抱かなくてはいけないのか。


そして、ずっとおまえは子供が産めない身体だからと言われそのせいで夫は子供を誘拐していたにも関わらず、娘を取り戻すために「わたしは子供を産めない身体だから」と有力な証言を持つ男を証人にさせる為に一夜限りのセックスをし、ラストに「ご懐妊です」と言われ泣き崩れる姿はあまりにも、あまりにも酷すぎた。
ラストシーンに対し「よかったね」と言うひともいるみたいだけど、とてもそんな想いにはなれなかった。
kokoko

kokoko