凄い!約2時間10分ちょっとの作品だが、全く眠気に襲われなかった。
本作は中国における児童誘拐、一人っ子政策、都市部と農村部の所得格差などの問題を背景に描く、実話を元にしたフィクションである。
前半一時間は、誘拐された我が子をひたすら探しつづける被害者の親の側から描き、後半は反対に加害者の妻(加害者の男は病気で死んでいるという設定)側から描かれるわけだが、前半のミステリ要素を入れつつエンターテイメントに捌くあたりと後半の現代中国の社会問題を炙り出しつつもやはりエンターテイメントに捌く描き方が上手い。
ラストのオチも意表をつく。
ラスト、その後の登場人物たちがどうなるのかというところは、観客の個々の想像に委ねるあたりもよい。
あと、やはり、人間というものの怖さを描いているあたりもよいな。つまり、加害者と被害者は、ものの捉え方、見方ひとつで、入れ替わるということね。あとは、正義という大義名分の怖さね。そのあたりをちゃんと描いている点が素晴らしい。
ひとつ難点をあげると、エンドロール前に、本作のモデルとなった実際の人物たちの映像が挟まれるわけだが、あれは、私的にはいらないとおもった。
ともあれ、この映画傑作です。必見!!