ケロケロみん

最愛の子のケロケロみんのレビュー・感想・評価

最愛の子(2014年製作の映画)
4.0
年間20万人の子どもが行方不明になる中国で実際あった誘拐事件を基にしたドキュメンタリーを見た監督が「これは何としても映画にしなければ」と製作。2014年に映画が公開されると反響を呼び、社会も少しずつ変わっていった。実際に誘拐事件の解決を目指し「子供を買う人がいるから誘拐が起こる」と啓蒙活動をしている被害者団体は「我々が10年間活動した成果以上の効果を監督は1本の映画で成し遂げた」と言う。社会の風潮を捉えて法律も改正された。しかし監督は「この問題の根本にあるのは封建的な社会制度、極端な男尊女卑にある」と話している。
とここまでは映画前の口上です。

清潔な大都市のすぐ近くにスラム街のような汚い一角がある。
高層ビル、アウディを乗り回し高級品を売る店が軒を連ねる高級なエリアの横には出稼ぎ作業員の詰め込まれたタコ部屋がある。そこで働く人々はもっと田舎の何もない牛やアヒルを飼って暮らす農村の出だ。広々とした道路の脇には原子炉。この映画では社会の問題に繋がる場面を2回は繰り返し見せて警告をならす。
防犯カメラのあちこちに1人で歩く被害少年や連れ去られていく様が映っているにもかかわらず警察は「行方不明?よく探した?法律で24時間経たないと捜索できませんよ」という。子が行方不明になると死亡届を出さねばまた子を産む許可のでない法律。杓子定規な裁判制度。疑問を持つ人々の声が大きくなったらどんな国になっていくのだろうか。

中国なのに……ウォーターサーバーからお湯を汲んでる!!