ナユRA

たかが世界の終わりのナユRAのレビュー・感想・評価

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
4.0
「理解できないけど、愛してる。」

実家を離れ12年。ある事を告げるために1人の男が家へ帰る。そんなとある日曜日の数時間のお話。

家族それぞれ空白の時間に語りつくせぬ思いがあり、その思いは言葉にできるほど簡単なものではない。

伝えたい、聞きたい事の裏に交差する様々な感情。いがみ合っても言わんとする事は目を見るだけで伝わってしまう。それは家族だから。そしてそれはどうしょうもなく辛く悲しく愛しい。

ドラン自身が大切な人を失ったのだろうか。ふと立ち止まって過去を振り返りたくなる年頃なのだろうか。今までとは違う若さからの脱却を少し感じた。

しかし、99分の短尺にも関わらず、リアルな家族のやり取りを見続けるのは疲れる。

相変わらず音楽のセンスが抜群でミュージックビデオを見ているようなスタイリッシュな映像はさすがだが、そのせいで浅さも感じてしまう。

ただ彼は繊細な感性の持ち主なのは確かである。

「理解できないけど、愛してる。」

家族をここまで的確に表現した言葉に出会ったことがない。

だから、見てよかった。

これから彼がどう成長してどんな作品を作っていくのかやはり楽しみで仕方がない。
ナユRA

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