サイクロプス

たかが世界の終わりのサイクロプスのレビュー・感想・評価

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
3.5
あー面白かった!
と映画館を後にする映画ではない
死を前にして12年振りに故郷へ
という設定からして、easyなわけない


家族を考える映画
というのが、僕のとりあえずの結論だ
久しく離れていたから、母とも兄ともぎこちないのはもちろん
妹にいたっては、年が離れていて記憶もない
兄嫁とは、(結婚式をパスしてるから)正真正銘の初対面

家族という一番身近な関係だからこそ、
表面的に取り繕うこともかなわず、
一筋縄ではいかない、複雑な感情がぶつかり合う
正直、はたから見てると痛々しい


舞台劇を観てるような感覚だった
会話と表情で劇が成り立っている
ルイ役のギャスパーウリエルは初見だけど、
とてつもなく上手いと感じた
控え目に言って、ただのイケメンではない
周りの家族とは対象的に、静かで言葉少ないルイは、
目と頬でしっかりと意思表示している
冗舌でない分、むしろ怖いくらい

取り囲む役者達も、この家族劇をしっかり演じている
そして、やっぱりコティヤール
「マリアンヌ」の直後だから、なおさら演技の幅に驚かされる
美しく知性がほとばしるマリアンヌとは、180度違う人物
ルイを迎える場面でピンときた
後姿の背中が丸いのだ、自信なげに
今回の兄嫁役は、どちらかというとトロくて、
控えめで真面目な中年女だ
お目々ぱっちりなところだけは、
いつものコティヤールなんだけど


エンターテイメントというより、
文学仕立てといったこの映画
落ち着いた気分で、じっくりと咀嚼したい