みなみしま

たかが世界の終わりのみなみしまのレビュー・感想・評価

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
3.5
ドラン特有の顔のクローズアップはそのまま他者の顔の晒し合いが起きる家の絶望と憎めなさを演出する。その証拠に帽子を被ってきたルイは家に入れば顔を晒し、そして帽子を被り家を出て行く。帽子には物語的な必然性がある。つまり家とは顔を晒さなければいけない場所であることの提示。一方で、死を扱う本作の隠れたモティーフは不在の存在である。例えばそれは死んだ父親であり、かつての実家であり、先週死んだ彼である。三つの不在があの家の背後に見え隠れる意味を考えずにはいられない。