ギャス

たかが世界の終わりのギャスのレビュー・感想・評価

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
3.5
+k

きっと誰もが体験したことのある会話の無力さと、核心に触れない大量の言葉の空回り。でもそれこそが絶対的に存在する愛の証明でもある。つまり、愛ゆえに触れられない核心。

無邪気に自らを装い愛をぶつける母親。閉塞感と何も守れない無力さでイラつく兄はかえって暴言を繰り返し、その核心と足りない言葉に傷つく妹。束の間の幸せな時間もあるのだが、それは弟の意図する方向には向かっていかない。彼が”分かり合えた”のは”無口”で”血の繋がってない”兄嫁だったという逆説。

なぜ言い出せないのか、何が怖いのか、ここにある愛は一体なんなのかという疑問をこちらに残し、
飛び立てなかった鳥を越え、本人の感情は語られず、最後の曲が沁みた。

カンヌはやはり”繊細”が好きだな。
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