まー

たかが世界の終わりのまーのレビュー・感想・評価

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
5.0
愛に比べたら たかが世界の終わり

タイトルが秀逸。原題ほぼそのままですが、近年稀に見る素晴らしい邦題です。

グザヴィエ・ドラン信者なのでスコアは例によってバイアスかかってますが、これはまた新境地というか、ドランのフィルモグラフィだけではなく、映画史全体を見ても非常に斬新な作りの映画でした。
ドラン作品に共通する寄りのカットや音楽の使い方を、まるで舞台のような俳優たちの演技のぶつかり会話劇に織り交ぜていて、見終わったあと単純に面白い!と思える作品でした。ドラン作品の中では一番わかりやすいです。
あと、普通に泣けます。ラストは号泣でした。一見「8月の家族たち」なんですが、そこはグザヴィエ・ドラン。"愛"しかなかったです。母の愛、兄の愛、妹の愛、義姉の愛。このキャストじゃないと成し得なかったです。お見事。

今作の主役は間違いなくヴァンサン・カッセル演じるアントワーヌでしょう。(ドランのこれまでの作品って必ず主人公の家族(疑似家族)目線でお話が進むんですよね。ただ、今作に関してはギャスパー演じるルイ視点で話が進むため、逆にドランが演じなかったのでは、と勝手に想像。だって完全にドラン役だし。笑 年齢的にもドランが演じていいはずなんです。)
終盤アントワーヌが拳を振りかざすシーンでブワッときましたね。あー、これはアントワーヌの物語だったんだ、って。

キャストはドランらしからぬ超豪華キャストですが、これは客寄せではないです。必然でした。5人とも素晴らしかったです。その中でもレベルが違っていたのがマリオン・コティヤール。うますぎて心情がダダ漏れだったのは演出なのか計算違いだったのかはわかりませんが、表情だけであれほどの言葉を伝えられる女優さんはなかなかいないでしょう。
ナタリー・バイもレア・セドゥも圧巻の演技でした。

またしても天才グザヴィエ・ドラン、期待を超える大傑作。次作も期待しています。

あと、頼むから田舎の映画館でも上映して…
まー

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