あんじょーら

屍者の帝国のあんじょーらのレビュー・感想・評価

屍者の帝国(2015年製作の映画)
3.7
伊藤計劃、原作だとプロローグと設定くらいしか関わってないかもしれない作品を、円城塔が、伊藤・フライデー・計劃の魂を探して描いた原作を、クリアでソリッドな映画化された作品。

原作も大好きだし、本来の伊藤計劃の本で読みたかったけど、このバディ感は素晴らしく、その期待を裏切らない作品でした。

偽史モノとしても傑作ですが(偽史モノとしての個人的最高傑作は矢作俊彦の『あ・じゃぱん』なんですが)、何より与えられた世界観の深め方が肝の作品だと思いますし、その映画化として文句無い出来栄えです。

登場人物の命名の元ネタとキャラクターを説明してしまう感じの、また文学作品を読んでいたからこそ覚えてしまうクスッとした嬉しさが入り混じっていて最高です。

まぁフライデーの萌え化、アレクセイの腐化、ハダリーの造形(特に胸…おい、エジソン、やって良い事とダメな事があるぞ笑)など、気に触る(あくまで触る、くらいのリテラシーはあります…)部分はありますが、それ以上に映像の良さがありました。

まあ流行りのBL的な要素も現代を反映しているのかも。

ああ、様々な事情はあるのでしょうが、伊藤計劃の最高傑作、最高インパクト作品の『虐殺器官』の無事な上映を強く希望致します。