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ハーモニーのkokonamaのレビュー・感想・評価

ハーモニー(2015年製作の映画)
4.5
【世界を再構築する】

複雑な世界観の中、投げかけるシンプルな一つの問い『誰かを殺して明日を生きるか、誰も殺さず自分が死ぬか』

大災禍の後、人々はハーモニープログラムに守られて生きている。感情も感覚もない安全なクリーン世界。突如として人々が一斉に自殺するという事件が起きる。螺旋監察官として働くトアンは、その背後にかつての亡き親友ミアハの存在を感じ取るのだった。

トアンとミアハの対立構造で描かれている。学生時代、約束した3人での自殺、社会への一撃は数年後の再開で叶うことになる。

若きウェルテルの悩み。既婚者の女性を好きになった彼は、思いが届かず死んでしまう。以後、その本を読んで自殺する人が増えたという。フィクションが現実に。

世界観を構築しているハーモニープログラム。ウォッチミーというプログラムを体内に入れることによって数値で計測、管理される。

チェチェンの少数民族で育ったミアハ。劣勢遺伝子の掛け合わせで生まれた彼らは、意思を持たない人間であったという。しばらくして彼女はロシア軍に誘拐され、強姦される。その出来事が彼女に意思を持たせた。そして彼女は、日本に養子として迎え入れられる。

『PSYCO-PASS』を感じさせる世界観と声。配置が一緒。伊藤さんの三部作は、クリーンな社会に対するアンチテーゼみたいなのを描いていて、心の中のモヤモヤを映像化してるみたいでした。
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