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ハーモニーのallerednicのネタバレレビュー・内容・結末

ハーモニー(2015年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

神様に見捨てられるなんて最高にカッコいいと思うけど

私は牢獄のような社会から逃げ出した
思いやりでじわじわと人を絞め殺す社会から

女の子は魔法が使えるんです
首席は女の子であることを忘れてしまったようですけど

日本で隣人に愛し愛されることをたっぷり味わって、公共的な生き方を学び直しなさい

みんながみんな互いを大事にし合って、殆ど知らなかった他人の死すらも、なんで自分には止められなかったのかって理不尽にも思わせる
そんな世界がまっぴらだったんだよ

あまりに多くのことを知りすぎていて、あまりに多くのことを憎みすぎているイデオローグ

まるで鏡の国に迷い込んだように、誰もが同じだ

お金よりもずっと命に近いところを人質にとって私たちを縛っている

自分の想像力の外に子供が出ていってしまったら、親はどうすることができるでしょう

恐ろしい、腹立たしい、そこにいろいろな感情な感情があると思います
その感情は本物です
大切にしてください
私たちはそうした感情を抑え込まなければならない社会に生きています
どこに書いてあるわけでもない、法律ですらない、そんな空気に縛られています
子供の自殺が増えていることを知っていますか
皆、逃げたがっているんです

自分自身の為ならば他者などどうでもいいということを証明してください
一番大切なのは自分の命だという感情を解放してください

フィクションには、本には、言葉には、人を殺すことのできる力が宿っているんだよ

善っていうのは、突き詰めれば、ある何かの価値観を持続させるための意志なんだよ

人々が信じている何かがこれからも続いていくようにすること、それが善の本質なんだ
でも永遠に続くものなんてない
本来人間は成長するし、老いるし、病気にもかかる
そしていずれ死ぬ
自然や命には本来、善も悪もなかったんだ

WatchMeによって病気や老いは駆逐され、健康っていう価値観が全てを蹂躙し、その善が世界を覆っているんだ
王様が治めていた時代は、逆らう奴は処刑するぞって脅して、暴力でみんなを従わせていた
けれど、民主主義になってから自分で自分を律するのが正しい生き方とされたの
でも自分たちの中にあるものが敵だった場合、私たちはどうすればいいの?
生命主義はその極限で、同時に成れの果てなんだ

生物の一部は目の前にあるものの価値を過大に評価してしまう

自殺も脅迫もあくまで混沌を生み出すための触媒にすぎない

死だけが権力の限界
権力から逃れることができる瞬間
死は存在の最も秘密な点
最もプライベートな点

向こう側にいたら銃で殺される
こちら側にいたら優しさに殺される

なぜこの健全な生命主義の社会を混乱させハーモニープログラムを起動させたいのか

なぜ人は何かを書くと思う?
文字は残るから
永遠に近いところまで

昔から人は永遠に取り憑かれていた

私はね、永遠だと人々が思っているものに不意打ちを与えたい
止まってしまった時間に一撃を食らわせたい
私たち三人の死がその一撃

私にのしかかってきた将校はね、私に繰り返し繰り返し入れながら、年代物のトカレフの先を触らせていた
これが銃だ、これが鋼だ、これが力だって言いながら、私の口に銃口を突っ込んで何度も何度も突き入れてきた
何度も何度も突き入れられて銃を涎でベタベタにしている時、私の意識は生まれたの

人間はどうしようもなく動物で野蛮なんだ
でもね、人間は変われる
自然が生み出したつぎはぎの機能にすぎないこの意識を苦しみのない存在に進化させるの
社会的な存在に変化させるの
人間は意識であることの限界を突破できるんだ

ミァハは戻りたかったんだね
意識のない風景に
生まれた時の風景に
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