黄色いブドウ

ハーモニーの黄色いブドウのネタバレレビュー・内容・結末

ハーモニー(2015年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

百合・鬱映画。ディストピアとも。自分にとってはユートピアに見える世界。

『あなた方は程々ということを知らない。勢い余ってその信仰を我々に押しつける。』、冒頭のこのセリフは全ての医療者が聞くべき話だと思う。

世の中の大半の人間は怠惰で、そして馬鹿なのである。そして馬鹿であるにもかかわらずプライドを持ってる。それが人間である。公衆衛生上では正しくても、お節介に押し付ければ一部で争いの火種になる。全然医学知識がない人たちが「ワクチンで自閉症になる」や「マイクロチップが入っている」、「ビル〇イツが仕込んだ感染症」や「コロナは存在しない医者は嘘つき」など狂言や暴言が飛び交った今ならわかると思う。

 (因みに馬鹿というのは専門分野ごとに違う。医学は知っているので賢くても、経営は知らない馬鹿などはいる。誰しもが何かしら馬鹿という意味で使用している。)

米国では親がコロナで死んで20万人以上の孤児が発生したが、日本の死者数は抑えられている。だが、本当にここまで抑える必要はあったのだろうか。確かに日本人は死を忌避し考える事を拒否するが故に他国と比べ安楽死などを考えるような倫理観の土壌がない。医療政策は国民の経済力と空気で決まると思うが、今回、国民は本当に望む空気だったのだろうか。死に無頓着ということは、大勢が死んでも許容したのではないだろうか。(私がそう望んでるという話ではない。確認方法が欲しいという話。)

公衆衛生を推し進めた結果、酒やタバコはまだよしとしよう。珈琲のない世界など考えられない。おそらくラーメン店などもない世界だろう。我々が望むべきはそんな社会なのだろうかと、すべての人が真剣に考えるためのきっかけになる映画だと思う。(考える際は正しい知識を身に着けて)