2012夏――
津波で家を流された5人の放送部員は仮設住宅から編入した中学校に通っていた。
機材も流され卒業製作も儘ならぬ彼等に思わぬプレゼントがやって来た。
新しい機材の送り主は中国・黒竜江省の石岩鎮村で、取材して欲しい場所が有ると云う。
訪れた5人は67年前の夏、ここで壮絶な体験をした当時の中学生の話を知る事になる。
1945夏――
旧制新京第一中学校三年生120名は満州ソ連国境近くの農場へ勤労奉仕に向かった。
最強と謳われた関東軍が間近にいる安心感――日本を信じて疑わない少年たち。
突然の爆撃――ソ連参戦。
避難すべく駅に向かった彼等の乗る列車は無く、関東軍は既に撤退 ――――自分達は置き去りにされた。日本に裏切られた。
彷徨う少年達はソ連の捕虜となり収容所、そして1か月後解放されることになる。
原野に放り出され、消耗した少年達を救ってくれたのはある農村だった。
村を出る朝、リーダーの少年はある決断をした。
1945年と2012年
ノンフィクションにフィクション
戦争と原発
共通するのは15歳の想い。
拠り所が解らない。
信じるモノが見えない。
この不安は誰にぶつけるの。
15歳の問いに対して明快な答を持ってる大人なんていやしない。
だって大人にだって解らないんだからね。
「大人が始めた戦争に子供を巻き込んで済まなかった。」とは某戦争映画の名シーン。
後世に語り継ぐべきは正直な事象と真摯な自省。
名優 夏八木勲さんの遺作です。