ソ満国境 15歳の夏の作品情報・感想・評価

ソ満国境 15歳の夏2015年製作の映画)

上映日:2015年08月01日

製作国:

上映時間:90分

3.4

あらすじ

日中戦争下、ソ連と満州の国境近くに勤労動員として送られた新京第一中学校の生徒たち。昭和20 年8 月、ソ 連軍の爆撃が降り注ぐ中、ソ満国境に取り残され、過酷を極める必死の逃避行が始まった・・・。原作は田原和 夫「ソ満国境 15 歳の夏」。10年の構想と製作期間を経てついに完成した感動作。

「ソ満国境 15歳の夏」に投稿された感想・評価

kyoko

kyokoの感想・評価

3.5
3.11の震災によって仮設住まいを余儀なくされた福島浪江町の中学生が、終戦の年にソ満国境に取り残された中学勤労動員の逃避行の歴史を辿る物語。
夏八木勲さんの遺作でもある。

原作をそのまま映画にできそうなのに、なぜわざわざ浪江の中学生をクロスさせるのか、最初はなかなか分からなかったが、終盤徐々に見えてきた。

自分のルーツや帰るべき場所を失う恐怖。
絶対に皆で帰るのだ、と歩き続けた彼らの思いを想像しながら、浪江の中学生もまた自分のふるさとを思う。

正直に言えば、設定にだいぶムリがあるし、つっこみたいところは多々あって、決して上手い映画とは言えない。
でもたくさんの人に観てもらうべき作品だと思う。

田中泯さんが素晴らしかった。
メインとなるテーマと共に様々な問題に真っ向から取り組んだ良作です。
学生向けの為か、説明臭さと若干の説教臭さはあるものの、上手くまとまっていると思いました。
役者さん達の演技もなかなかでした。
川野誠

川野誠の感想・評価

4.1

このレビューはネタバレを含みます

私が見た、おすすめしたい難民映画

実話に基づく映画です。
太平洋戦争が終わる直前、ソ連と満州の国境地帯で勤労奉仕していた15歳の少年たちがいました。総勢130名。

昭和20年8月9日にソ連軍が突然侵攻してきましたが、少年たちは助けもなく孤立し、約200キロの距離を10日かけて歩いて逃げます。そこから先もソ連の捕虜にされたりして、実家の長春へようやくたどりついたのが10月20日、4人の少年が帰ることができず、また帰還後に衰弱して亡くなった少年もいました。

衰弱の原因は約50日間の捕虜生活と、それと水だったようです。ボウフラがわいた水をのみほし、それでご飯を炊くしかなかったような過酷な状況でした。原作者の田原和夫氏は、こう書いています。

「いつのころからか私は、コップで水を飲むときはコップを目の前に一瞬捧げるようにしてから飲み干すようになった。そして飲み干す瞬間には必ずこのときのたまり水の情景が胸に浮かぶ。のどが渇いたときの一杯の水はほんとうにおいしい。だが私にとっては、それは水の恩を尊び、水に感謝する祈りのときでもある。」
          田原「ソ満国境 15歳の夏」p78-79

130名の少年たちは事態の全貌を知らされることなく、ただ逃げまどうしかなかった。田原氏の著書は、執念の資料調べで、15歳の時に知ることができなかった真実の空白を埋めていきます。戦争指導者たちの無責任さを暴き立てます。

田原氏が著書の中で、見捨てられた少年たちのルサンチマンを正直に出しているところが良いと思いました。私憤を公憤にすりかえるのは潔い態度とは思えません。指導者の責任は追及しつづけるべきです。許せないものは許さなくていい。人には「どうしても忘れられないこと」と言うものがあるのですから。

「戦争に負け」、「孤立していて」、しかも「子どもだった」。この三重のハンディの中で難民になるとはどういうことか、とても良く分かる映画、そして原作本です。
ぴよ

ぴよの感想・評価

3.0
課題用に鑑賞。

冒頭仮設住宅のシーンから始まって、
映画とは別にしても東日本大震災が日本に与えた、人々に与えた影響ってものが伝わってきて、

さらにその中で主人公の男の子たちが関わるおじいさんたちの過去があきらかになった時、全部つながる感じする

長くて眠かった
踊る猫

踊る猫の感想・評価

3.8
観ている途中は失礼ながら眠くてしょうがなかったのだが、後半の展開が尻上がりに面白くなったので基準点に繋がった。東日本大震災直後の窮乏した生活とか、映画作りに関する映画(自己言及的/メタ映画的)であることをもっと描き込めば面白くなったんじゃないかな……と思ったりもしたのだけれど、この潔さであるいは良かったのかな、とも思う。歴史を超えて、国境を超えて「人間」とはなにかを問い掛けてくる極めて重く渋い、悪く言えば地味に過ぎる映画だ。特にこれと言って光るショットがなかったのも痛いといえば痛いんだけれど……「また明日」という登場人物の台詞が重くこちらに余韻を残す。そうか、彼らはまだ若い。「また明日」を生きるのは彼らなのか……そんなことを考えさせられた。

このレビューはネタバレを含みます

**********
【ソ満国境 15歳の夏】 (Theatre)
2015年
総合評価 3.6 → ☆3.8

「シナリオ」 (1.0) … 4 → 4
「演出全般」 (1.2) … 4 → 4.8
「心理効果」 (1.5) … 4 → 6
「視覚効果」 (1.1) … 3 → 3.3
「音響効果」 (0.9) … 3 → 2.7
「教養/啓発」 (0.8) … 5 → 4.8
「俳優/声優」 (0.7) … 3 → 2.1
「独創性」 (0.8) … 3 → 2.4
**********
【ストーリー】
福島の被災地、仮設住宅から、汚染に悩まされながらマスクを付けて通学する少年少女5人組が主役(学校ではボランティアの人達が除染作業をしている)。少年達は優秀な経歴を持つ放送部の部員だったが、機材や経費不足、受験勉強によりほぼ活動はしていなかった。そこへ中国のある人物から、一冊の本と共に「経費と機材を提供するからこちらで映画を作ってくれ」との奇特な依頼が来て、彼等及び顧問はそれを承諾して、中国へと旅立つ。

送られてきた本の中には、太平洋戦争時、同じく15歳にしてガクトとして駆り出された、今は無き満州国の少年達の経験した、苦難と感動の物語が書かれていた(おそらくこれが原作)。

本の送り主は、その本に登場する金森という少年(今は老人)だった。少年兵だった彼等は関東軍が撤退する際に囮として利用され、満州国に置き去りにされた。ロシアの虜囚になりながらも開放されたが、水食料が尽きて、もはや死を待つばかりの状態だった。そこへ地元の村民と出会い助けを求めるが、生活に余裕が無い上に日本兵に恨みの深い彼等は当然助けようとはしない。しかしそこへ現れた村長の鶴の一声で彼等は救われることになる。

村長曰く、「人間とはそういうものだ。そして、かつて誰かが赤子だったヌルハチを助けたことで、我が満州族が起こった。君たちが助かることで、今後どんな歴史が刻まれるか楽しみなんだよ」と。

その少年兵の一人金森は、日本での差別の為に隠し続けていた、朝鮮人という出生をカミングアウトし、日本に帰るのを避けて村に残ることを選ぶ。そして、そこで村長の養女と結ばれて、現在に至る。

帰国した5人は、学校で除染作業のボランティアをしていた人達に、金森の戦友達が混ざっていることを知る。そもそも撮影旅行は彼等と金森が仕組んだ計画だった。彼等の一人は言う。「かつて大人だった関東軍は子供だった我らを無責任にも犠牲にした。私は中国の村に助けられて何とか帰国し、真っ当な仕事に就いた。しかし、我々の作った部品が使われている福島原発が事故を起こし、大人は責任を取らず、何も知らない子供に問題を押し付けている。結局、昔軽蔑した大人と同じことをやってしまった事に気づいて、せめてもの罪滅しにボランティアをしているのさ」と。

**********
【魅力】
・教養
・重みを感じる台詞
・無駄の無い演出
・鋭い視点
・現代と過去の対比
・ハートフル

【不満】
・特になし

**********
【少し突っ込んだ感想】
太平洋戦争時の日本に関しては色々な見方があるけど、個人的に関東軍に関してはフォローのしようが無いぐらい倫理観が欠如していた印象があります。「憎まれっ子世にはばかる」とは、正に彼等にビンゴな表現で、民間人を犠牲にして生き残り、帰国しては手厚い手当で恵まれた余生を過ごしたであろう、倫理観に反比例して、極めて生存本能の強い人種だったと思われます(もちろん例外もあるでしょうけど)。

その意味で、なかなかそのへんを深く切り込んだ作品であるのは確かですが、かといって必要以上に批判するわけでもなく、むしろ死地に追いやった彼等への批判よりも、死中に活を拾うことのできた、人間の根本的なやさしさをテーマにしていました。

さらに、日本人の持つ本質的な無責任さにも切り込んでおり、それを福島と結びつけた手腕は見事。このことにより、歴史と現代がリンクされ、真の意味で教訓を活かすきっかけが見いだせるのではないかと思います。

**********
少年向きかつ文部省推薦作品なだけあって教科書的つくりをしているのだけど、監督のフェチズムもきちんと見え隠れしていて面白かった。
ハリウッドアクションと美少女を愛しているんだなあと。
本当はレオンみたいなのを撮りたいんだろうなあと。

木島杏奈にズームしていくシーンで、なんでそこで木島にアップやねん!と思いながらも、とても魅力的に撮れているので、そりゃズームしたくなるわとも思ったり。
多分、木島杏奈ちゃん現状で一番魅力的に撮っている作品。
ゆえに彼氏役のキャスティングを未だに理解できない。

子供達が5人もいらない、総じて中学生とは思えないくらいの素直さに嫌な違和感、編集で感じる嫌な間延び、置いてけぼりになる回想への導入、時折感じるミスマッチなBGMのセレクト、など観客として得たい感動を妨げるものが多いのが残念。

さて、これを経て、我々若い世代はこれからどうしてゆくべきか。

というメッセージ性で考えれば、一見錯綜してるようにみえるテーマ性にも納得がいった。
Love

Loveの感想・評価

2.3
清水君が出てるから見に行ったのだが、内容はとても良かった。
夏八木勲さんに捧げるというラストのテロップだけでも感慨深くなるのは僕だけではないはず…。

内容としては"被災した中学生が戦時中の中学生に見るものとは?"

まさにこの点が物語として面白い。共感とわかりやすさ(この映画は中学生向きに作られているらしい)はもちろんのこと、否応なく受け継がなければならないことにハットなる。
obao

obaoの感想・評価

4.0
@シネ・ヌーヴォX
福島原発事故により避難生活を強いられている中学生と終戦間近満蒙開拓団に従事し日本軍に置き去りにされた中学生が時を超えてリンクしていく。実話とフィクションの融合。

ソ連が非戦条約を一方的に破棄し満州への侵攻。関東軍は保身の為に日本人を置き去りにして遁走。機銃掃射に遭いながら逃げまどう満蒙開拓団の中学生たち。彼らは、まだ日本の勝利…日本軍を信じている。これが実際の戦争…実話なのです。

冒頭“中学生向き”とあるように、すごくストレートでわかりやすい作りになっているので、是非中学生たちに観てもらいたい映画です。「私たちは、(放射能を)浴びてしまっている。将来幸せな結婚をして健康な子どもを産むことが出来るか…怖い」というような福島の女子生徒の言葉に胸を刺され…涙が出ました。
>|