ぽち

ディアボリカルのぽちのレビュー・感想・評価

ディアボリカル(2014年製作の映画)
1.1
SFマインドの無い監督がタイムトラベル物を撮るとこうなってしまうというよい見本。

完全に破綻した設定とストーリーは、どんでん返しのつもりの「実は息子だった」が分かっても、まったくスッキリしない終わり方で、フラストレーションだけが残る。

パラドックスを完全に無視したのが敗因であるのは確かだろう。

各キャラクターの行動が意味不明というのもイライラしてしまう。
生死にかかわるのに、なぜか家を出て行かない母親。意味もなく暴れまわるタイムトラベラー。いくら昔のケガでおかしくなっていると言っても、襲う動機がまったく無いのはひどい。
科学的に分析しに来た恋人も、いきなり「やっちゃえ」で戦闘モードってのはどうなの。

アリステア監督はミュージックビデオなどで活躍しているそうだが、その延長で撮ってしまったのが全部裏目に出たと言えるだろう。
せめてSF色を無くし完全にホラーとすればまだ逃げ道はあったのだが、これでは「破綻」と言われてもしょうがないだろう。

前半は不条理なホラーに科学を持ち込む手法で、これは上手くやれば「ポルターガイスト」のようなアタリになるのだが、ふたを開ければSFをホラー仕立てにした作品。

のんびりした家族の対応や破綻した設定で、どちらのジャンルのファンが観ても納得できないものとなってしまった。

監督はまず往年の名作SFを数十冊読んで出直してきなさい。



余談。
「ドラえもんがいれば億万長者」と同じで、もし家にあんな変な物がしょっちゅう現れるのであれば、それを使って大金持ちになれるでしょ。

今ならネットに流すもよし、TV局に映像を売るもよし、研究所に貸せるもよし。
ちょっとはポジティブ思考で考えましょう。

さて、タイムトラベルが完全に破綻している。
子供の顔に傷をつけると、相手の顔にも傷が出来るってシーンを、絵面優先で付けてしまったため。

これが無ければまだ多元宇宙と解釈できたのに、このせいで同一線上の時間軸になってしまった。

あと、最初は殴ろうとするとすり抜けていたよね。物質がすり抜けちゃうようだけど、あんた、どうやってそこに立ってるの?笑
ぽち

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