愚民

みちていくの愚民のレビュー・感想・評価

みちていく(2014年製作の映画)
3.0
観る映画に何を期待するか、によってそれが期待外れだったのか、期待以上だったのか、感想の別れ道となる。

この映画において言えば、作品のクオリティや脚本の構成の妙とかを期待したら、それこそ期待外れという印象が強いかも知れない。

ただ、この監督がこの歳でしか撮れなかった傑作とも思う。
同世代の山戸監督による「溺れるナイフ」より、本映画の方が監督と映画の距離が近い。
だからこそ、本作では思春期における曖昧さ、刹那的な感情がぐっと立っていると感じた。

映画上劇的な事件は起こらない。些細なことがこの映画の人物にとっては大きい事件であって、そのミクロ的な感情を丁寧に映し出した、という点は評価すべき部分と思う。し、監督のこの映画に対する姿勢に嘘がないように思えた。

この映画に生きている人物たちがそうであるように、この映画もまた一過性のものであるから、今後生み出す作品がどのようなものになるかが楽しみではある。
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