『僕にだって、居場所が必要だ。』
キューバ行きの飛行機墜落事故を軸に、エホバの証人、熟年不倫カップル、崩壊寸前の中年夫婦、ドラッグの運び屋の運命を辿る。
一つだけ時間軸が異なるストーリーも含め最後の最後に全員の運命が交差する流れは巧みです。
物語の鍵となるのは「輸血」。
普段私たちが当たり前に”善”とみなしている行為が神の御前では全く異なる意味を持ちます。
飛行機が落ちるのは全能の神様が存在しないから…
そしてあの結末もまた、神の意志ではありません。
人は結局、神の意思や裁きなど関係なく、自ら選んで、自由意思で生きているのだと深く考えさせられました。
しかし人の弱さから信仰が生まれて、結果信仰に殺されるとはすごい皮肉に感じてしまうのは私だけでしょうか?
難しい題材を扱った作品です。
とはいえ、このじわじわと重い気分になるラストは嫌いじゃない…