アキ・カウリスマキのようなシュールかつ綺麗なシーン作りが思いの外多かった。やはりこれも原題であるYOUTHが強い意味を持った映画なんだけど、数多の原題に見られるような、タイトルとストーリーの間に作り出される空間を想像したり推理したりできるようなちょっとした謎かけ的なタイトルよりも、（言語的なバックグラウンドという隔たりがありつつも）ぱっと見で感動できそうな短絡的なタイトルで物語の広がりを切り落とされてるような邦題のつけ方がなんとももったいないと思った。タイトルとストーリーを改めてすり合わせて考えることで追える心情やストーリーやメッセージがあるというのにもったいない。
映画自体はユーモアを交えつつ気楽に見られるけど一筋縄ではいかず、自分の生活を見直せと鼓舞されるような、静かで力強い語りかけのある面白い内容だった。なによりマイケルケインとポールダノの様々な掛け合いが見られて嬉しかった。
と、ポールダノの「欲望を…」というくだり、観覧者全員の背中を押そうとする監督からのメッセージがあるように感じ、それだけを取っても観てよかったなと思う
