レスター

グランドフィナーレのレスターのレビュー・感想・評価

グランドフィナーレ(2015年製作の映画)
4.0
人生の終盤をリゾート地で迎える老人二人が、「過去」「現在」「未来」を見つめ直す話。
それぞれのクセのある登場人物が、過去や現在の成れの果ての象徴だ。
「人の振り見て我が振り直せ」とはよく言ったものである。

前半は少々退屈だけど、後半になると、
「YOUTH」の原題、若さとは何か?歳を重ねるとは何か?という問いをグッサリと刺してくる感じがしました。
観終えた感触は、「グレートビューティー」のような軽さはなく、どっしりと重い。
特に、ラストシーケンスの対比にはゾッとした。

「娘の為を思ってしてあげた事は、あの子は一切覚えていないんだ」
と友人に愚痴るシーンが印象的。
「親のエゴ」と言ってしまえばそれまでだけど、親となれば誰もが経験する(であろう)事だと思う。

それと「自転車に乗れた瞬間」は、いくら歳を重ねても忘れない。
これこそ「YOUTH」そのものなんじゃないかと思った。

映像は相変わらずフェリーニを匂わせるが、どれも美しい。
特にクライマックス(?)の幻影が特にフェリーニ!

シンプル・ソングに集約される人生。
遠回りもしたけれど、シンプル・ソングこそフレッドの過去を解き放つ未来でもある。

人によってはかなり眠い作品だと思うので、あまり勧めづらいが、
今までとは一味違うポール・ダノを観るだけでも!と推しておきたい。
十年後に観るとまた違った感想になるタイプの作品です。

最後に、エンドロールに出てきた「フランチェスコ・ロージ」は
有名な人らしいのだけど、自分には馴染みがなくて、誰?と思ってしまった。