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サウルの息子のtonoのレビュー・感想・評価

サウルの息子(2015年製作の映画)
3.6
今年度アカデミー外国語映画賞受賞作。同胞の死体処理と引き換えに辛うじて生を長らえていたゾンダーコマンド達を描く。

撮影&映像の斬新さが本作の肝。サウルの背後から捉えるシーンを多用し、視野の中央以外をあえてぼかすことで“異常な日常”の中での逼迫した精神状態を表現している。ぼかしが入ることで強制収容所の凄惨さは決して薄まることはない。

死と隣り合わせの中で周囲を犠牲にしてでも「息子」と思しき”少年”の埋葬に奔走する狂おしいまでの執念、そして、未来を託した”少年”と出逢い安堵する姿。簡単に共感できるものでは無いが、それが極限状態で人間が選択する行動なのだろうか。
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