猫髭公爵

ロブスターの猫髭公爵のレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
3.9
森の中に恋というハンティング!公営恋活運営VSおひとり様主義者たちの映画。

独身者は強制的にホテルに送られ、そこで45日以内にパートナーを見つけなければ動物に変えられるという近未来的かつメルヘンチックな世界観の作品。
「動物に変えられる」というと可愛らしいというかゆるさを感じるが、描写こそないがその方法はけっこうエグそうという…。
ホテル内の様子も、送られた独身者たちは衣食住には不自由しないが、行動の制限もあり、時には脱走した独身者を連れ戻すための狩りにも駆り出される。半分囚人のような扱いである。
主人公のデヴィッドもそんなホテルに嫌気が差し、森に逃げ込むとレジスタント的な独身者たちと出会う。
これで窮屈などなく自由に生きれる…かと思いきや、こちらはこちらでまた厳しい規則があったり…。

本作では国(?)が独身者を強制的に集めてその中で自分に合うパートナーを見つけさせようとする。
日数の制限や出来なかった時の罰則はあるものの、運営側が無理矢理パートナーを決めないのは温情だろうか…?
とは言え、動物に変えられたくない人は必死にパートナーをつくろうとする。中には自分を偽って無理に相手に合わせようとする者も…。
デヴィッドはホテルではパートナーを見つけられなかったが、逃げ込んだ森の中で理想の女性を見つける。
誰に強制されることもなく、自然と二人は恋仲になる。
結局恋愛っていうのは自然と成立するものなのかなぁって。
決められたグループから無理に探して一時的に関係が成立してももどこかで無理が出てくる。
逆にフィーリングの合う相手が見つかれば恋愛・結婚否定派でもそんな考えは覆る。自分の近くにもそういう事例があったのでそんなものだと思います。

昨今の自由で窮屈な人間社会の恋愛事情を考えさせられる作品。
相手に理想を求めすぎるのもよくないが、相手に合わせて自分を下げても自分が息苦しくなってしまう。
無理に自分と相手が同じところを探したり同じになる必要はないと思う。
でも結局こういうことって正解はないのだろうし、いっそ動物になってしまった方が楽なのかなと思う独身者であった。

ちなみに作中だとメイドの人が好みでした!
猫髭公爵

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