芹沢由紀子

ボーダーの芹沢由紀子のレビュー・感想・評価

ボーダー(1981年製作の映画)
3.5
何の前情報もなく見た。
若き日のジャック・ニコルソン主演。
80年代のエルパソが舞台で、新米国境警備隊員の主人公がなかば巻き込まれ型の災難に見舞われ、にわか正義感を爆発させるアクション?犯罪ムービー。

冒頭のエキゾチックな教会での大震災シーンから始まるのだが、雑!
映画とは思えない大雑把な撮影技法でしょっぱなからびっくり仰天。
幼い弟と、産まれたばかりの赤ん坊を連れて、命からがら逃げてくる少女マリア。美人なので応援したくなる。
本当に貧しくて、不法入国者たちが、ネズミかなにかのようなひどい扱いを受けていて、とても人間とは思えない。
真っ黒に染まった上司や同僚と、徐々に対決していく主人公だが、彼には映画の主人公然とした特殊な能力や才能は一切持ち合わせていない。

高校時代チアリーダーだったことが人生最大のモテ期というようなルックスだけを武器に生きてきた頭の悪い嫁をもらい、その責任を全うしようとするごくごく普通のしがない普通の男なのよ。
まじめさだけが取り柄ゆえ、許せない事態に直面し、悩むこともなく計画性もないひたすら無謀な勇気だけを振りかざしそこそこ大きな悪に立ち向かう姿は、観ていてヒヤヒヤ、危なっかしくてしょうがない。
彼が命を落とさなかったのはラッキーとしか言いようがないくらい仕事も人生も何もかも雑!
雑!
雑!
それなのに、あのラストにはうるっと泣かされてしまった。
まあ、そこそこいい映画なのかもしれないけど、リアルにストーリーを進めすぎて、夢もへったくれもなかった。

映画のジャケはやたらかっこいいな。
芹沢由紀子

芹沢由紀子