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さらば冬のかもめのrのレビュー・感想・評価

さらば冬のかもめ(1973年製作の映画)
4.4

とても良かった。

たったの40セントの窃盗で8年の懲役を課された新兵メドウズ、彼を海軍刑務所まで護送する任務が下った破天荒なバダスキーと現実派(でもたまに変)なマルホール。そんなちぐはぐ3人組が刑務所に辿り着くまでの道中を描いた作品。

メドウズは一体どんな強者なのかと思っていたら、やけに気弱そうで、終始身を縮こまらせ、視線の落ち着きのなさからその狼狽えと自信のなさが伝わってくる…そんな佇まいの青年がしょんぼりと登場したので肩透かしを食ったようだった。(一方マルホールは初登場時アイロンがけしながらすごいキレてて笑った)




メドウズは"普通"からはみ出てしまった訳ではなく、ただただ自分の外側との繋がり方を知らなかっただけなんだよなぁと。護送の間、バダスキーとマルホールが自己と葛藤しながらもメドウズの人格獲得を後押しする姿が美しく胸打たれた。だからこそ刑務所での別れのシーンの、あのあまりの呆気なさが際立つし、結局は事実を変えることはできず、自分たちは大きな力や組織の中で、それらに生かされて生きていくしかないのだというやるせなさが後を引く。
それにしても3人ともほんとうに良い顔をするものだから、いちいち胸に迫るものが。。




あと合間にお約束のように挿入される鼓笛隊?の音楽がシュールすぎて笑った。
未成年にお酒は出せない!と断られ→理不尽に逆ギレした後、「ウヒヒヒ〜(文字通り)」って大爆笑してたり(悪質すぎでしょ)、補助ベッドの置き方計画性無さすぎたり、かなり笑えるポイントが多かったのも悔しいけど高評価。
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