rさんの映画レビュー・感想・評価

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マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間(2023年製作の映画)

4.2


無数の死体が無造作に積み重ねられていく中投げかけられた「この瞬間に何を感じるのが正解なんだ?」という問いに対する言葉が見つからなかった。
だからこそ、戦争を止めるため何をしたか問われた時に、確かな答
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人間の境界(2023年製作の映画)

4.0


ポーランドとベラルーシの双方から突返され、国境に閉じ込められ行き場を失う難民の壮絶な現実を、圧倒的なリアリズムをもって描き、告発する。政府の策略と分断される民間。人を人たらしめるものとは一体何なのか
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異人たち(2023年製作の映画)

4.1


素敵。浅い眠りの中を1人泳ぐような、完璧な孤独を感じた。孤独は他者の存在によってしかもたらされないけれど、孤独を完結できるのは自分1人だけなのだということ。別のベクトルに存在する自分への愛と他者から
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胸騒ぎ(2022年製作の映画)

3.6


あ、この人無理かも…という言語化が難しい瞬間を鋭くキャッチ、しかもそれを絶妙な度合いで積み重ねてくるので、紛れもないヒューマンホラーといえる。多少の荒さもあるものの北欧ムード満載の仄暗いテンションを
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ペトルーニャに祝福を(2019年製作の映画)

3.7


十字架を奪い合う女人禁制の祭に参加した女性1人に焦点を当てつつも、"伝統を守ること"を盾に保身に走る力を持つ男性達と共存すべく、マケドニアの女性達1人1人が諦めてきたもの、その表情や人生が実に多面的
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.2


んー。。弱い。
これまで監督自身が築き上げてきたtheセカイ系の自己ブランドを正面から切り崩しにいくことでレベルアップを図ろうとしたのかもしれないけれど、実際にあった震災をこの作品に包括する技量は無
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TDF Really Works(原題)(2011年製作の映画)

2.8


若き日のアリ・アスターのハジける笑顔以外何も特筆すべきものがない。

フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

3.7


ノーランのデビュー作。
時間軸を操り物語性を倍増させるスキルはこの頃から確立されていたのだなと思った。同じ出来事でも時間を入れ替えて見せることで物語そのものが持つ以上のインパクトをもたらすことができ
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インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

3.8


うわぁ好き… クローンに自分の罪を償わせ自分は無実のまま生き永らえるものの、クローンの存在による歪んだ無限ループに堕ち、行き着く先には自分という存在を保証するものが一切無くなってしまう。突き抜けた変
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The Strange Thing About the Johnsons(原題)(2011年製作の映画)

3.7


アリ・アスターが映画学生だった頃に撮った短編。"実の父親に欲情する息子"というインモラルかつパワフルすぎる設定…やっぱアリ・アスターは平気でこういうことしてくる奴なんだよな。。親子間の主従関係を見事
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美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

3.6


"人生を物語にすることは容易でも、本当の記憶を維持することは難しい"と語る写真家ナン・ゴールディンの闘いの記録。芸術と自分の魂を武器に、芸術界で圧倒的な権威であったサックラー家に立ち向かう。彼女が燃
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ショコラ(1988年製作の映画)

3.7


「ホワイト・マテリアル」然り、原住民の誇りやプライドが画面に美しく表れていて良い。それでいて異人種間に横たわる搾取構造や一方がひた隠しにしている罪悪感、場面により変わる関係性、延いては互いに密かに抱
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0


自分が生み出したものの脅威、それがもたらす力を、あの決定的瞬間まで予測・理解することができず、アクセルを踏み続けてしまう点にとてつもないやるせなさを感じた&上手く描かれていた。テンポ速く人物多く密度
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プリシラ(2023年製作の映画)

4.1


水色が似合う私も、お屋敷が全ての私の世界も、全部あなたが創った。若さを盾に手に入れた熱に浮かされる日々は、自分を手に入れるための寄り道だった。守り続けた火を自ら吹き消し、狂騒の日々を愛し抜いた相棒と
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関心領域(2023年製作の映画)

4.0


強制収容所の周囲に展開される関心領域に暮らす加害者、その無関心が営む生活を淡々と観察する。時折顔を覗かせる徹底した冷徹さに背筋が凍る一方、ラスト彼と目が合った時自分が確実に彼らと同じ地平にいることに
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美しき仕事 4Kレストア版(1999年製作の映画)

3.7


アフリカのジブチに駐留する外国人部隊。しなやかでバネのような弾力を誇る肉体が砂漠地帯で舞い踊る。均一に屈強な身体を持つ男たちは肉体的には調和するが個々の内側には別々の心を宿す。訓練と洗濯とアイロンと
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愛と激しさをもって(2022年製作の映画)

3.7


人が抱える感情の多面性や、そのコントロールの効かなさといったものを抱えた上で正直に/誠実に生きるということは、他人を傷付ける事なしには成り立たないものであり、その意味でこの上なく真摯にパートナー関係
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ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

3.8


19世紀のアイスランドとデンマークの支配関係の下境界線を跨ぎ共存する2つの言葉、そこから派生する感情。信仰による統合という使命を背負う牧師の壮絶な旅路は拒絶で繋がれる物語と言える。荘厳な自然を背景に
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海がきこえる(1993年製作の映画)

4.7


"ライトアップで浮かびあがった高知城は一人で見ても電気の無駄にしか思えなかったけども、もし里伽子と二人だったらきっと綺麗に見えるに違いなかった" という言葉が全てだ。景色、世界を変えてしまう人。
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英国式庭園殺人事件(1982年製作の映画)

4.3


豪華なお屋敷と庭園の絵を12枚描き上げる契約を結んだ画家。彼が描く絵に映り込む殺人事件を匂わすファクター。耽美的なムードと怪しげなサスペンス要素が絡まりこの上ない艶っぽさを織り成す。かと思えば上っ面
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