さらば冬のかもめの作品情報・感想・評価

「さらば冬のかもめ」に投稿された感想・評価

tori

toriの感想・評価

4.0
「30年後の同窓会」の基になった映画だと知り後追いで観た

未知との遭遇、古ぼけた駅、窮屈そうなバスの車内
先を急がない気ままな陸路乗り継ぎの旅
乗りモノが走る度に響くマーチが心地よい

ジャック・ニコルソンの顔芸
栴檀は双葉より芳し

US Navy とMarineは違うものだと初めて知った
「30年後の同窓会」を観たらコレの流れ、あると思います。

てかあかんわこのジャケ笑ってまう。三人の物語なのにぃー。でも眺めてるとこれはこれでありかもと思えてくる、若きジャック・ニコルソンのお顔の説得力。

有名すぎるアメリカンニューシネマだけど、「30年後の同窓会」を先に観た私にとっては完全にあのトリオの若い頃。兄貴心をくすぐられたバダスキーたちが、20代の殆どを刑務所で過ごすことになってしまった世間知らずのメドウズの運命を憂いて、罪人護送の職務中であることをさておいちゃって、入所前に色んなことを経験させてあげよう、たくさん良い思い出をつくってあげようとして活き活きと動き回っていた。ジャックニコルソンが「メドウズ」と呼ぶ声色がどんどん優しくなる。次第に生まれる絆。

本で読んだことしかない70年代の米国の背景と、そこに投下されたこの映画の意味を考えて、ちょっとだけしんみりした。
暮居

暮居の感想・評価

2.8
邦題が詩的。原題のThe Last Detailを直訳すると最後の特派隊なのか。
ジャケ絵のちょっとマッチョでかっこつけた感じとは裏腹に後味はしんみり。ドタバタでクスッとくるシーンはあるが、そのぶん余計に。
青春時代を厳しいムショで過ごすことになる彼はこの思い出をその間どう抱えていくんだろうか。いつもつい盗ってしまう、つい逃げ出そうとしてしまう彼は更正できるのか、なんだか出所しても再犯してしまいそうな気がする……
鉄格子の向こうに引きずられていく若者の背中、もうごめんだと苦い顔で去るおっさんたちの背中。道中が楽しければ楽しいだけ辛くなるのなら馴れ合わずドライにいけばよかったのか、そうしても後悔するのだろう。

娼婦の女の子がかわいかったなぁ……
世慣れた海軍兵のバダスキーとミュールが、18歳のお子ちゃま囚人メドウズを護送して刑務所に届ける、異色のロードムービー。
数日間の護送の旅を通じて、彼らの間には、立場を超えた信頼関係が生まれていく…

まず、囚人の護送がめっちゃユルい(笑)。
初めこそ手錠を掛けてるけど、すぐに外して、3人で飲みに行くわ、 ケンカ騒ぎ起こすわ、挙句に童貞メドウズの筆下ろしまで手配してやる。そんな護送でいいのか〜!?笑

途中、日系某宗教の集会が出てきて、それが南無妙法蓮華経をひたすら唱えてイェーイ!!みたいなノリなんだけど、ニコルソンがドン引きしながら眺めてるのが、妙にシュールで笑った。

ニコルソン演ずるバダスキーは、荒くれ者だが面倒見の良い兄貴肌。
旅が終わりに近づくにつれ、窃盗未遂で理不尽に8年もの刑期を課されたメドウズのこれからを案じて、物悲しくなる人情派。終盤の、不憫でたまらないといった表情がつらい。
あと葉巻の吸い方がかっこいい!そして無駄に脱ぐ!
リチャードリンクレイター監督新作「30年後の同窓会」予習として。
血生臭くないアメリカンニューシネマとして周りに勧めやすい一本。
netfilms

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3.8
 寒々とした冬の光景のノーフォーク基地、統率された海兵たちの行進、そこに「バダスキーはいないか?」と突然声が鳴り響く。勤務外だったビリー・バダスキー(ジャック・ニコルソン)は既に眠りこけていたが、若い水兵に叩き起こされる。そして次に若者はミュール・マルホール(オーティス・ヤング)を呼びつけ、先任衛兵伍長が呼んでいると伝言する。うんざり顔の2人を前にして、上司は「お前らは運のいい奴らだ」と言い放つ。罪を犯した新兵をポーツマス海軍刑務所に護送するよう命令される。福祉好きの隊長夫人の募金箱から金を盗もうとした男、ラリー・メドウズ(ランディ・クエイド)を護送すること。盗んだ額は僅かに40ドルだったが、募金箱がたまたま司令官夫人が設置した物であった為に懲役8年を言い渡され、青年期の殆どを刑務所で棒に振る計算になっている。バダスキーとマルホールの2人がポーツマス刑務所に囚人を護送するために設けられた期間は1週間。しかも3人の日当付き。護送にかかる時間は僅かに2日間のみで、残りの時間を束の間の休暇に当てようと算段する2人は、喜んでメドウズを護送する。

 ノーフォークからワシントン、ニューヨークを経由し、ボストンへ。バスとタクシーと列車を乗り継いでの3人のロード・ムーヴィーの幕が開く。最初は2人の護送官で先輩に怯え、自分が出せずにいたメドウズだったが徐々に2人に心を開き始める。一方、最初は無口な18歳を得体の知れない男だと見なしていたバダスキーとマルホールの2人も、青春時代を棒に振る若者に対し、情が湧いてしまう。チーズをとろとろに溶かしたハンバーガーとビール、バダスキーが教える手旗信号の所作、先輩を殴れない臆病なメドウズの大胆な行動、世界一美味いソーセージ・サンド。時計に「通信班長」と彫ってもらった18歳のメドウズの思いは、2人に優しくされればされるほど、俗世への未練が絶ち切れなくなる。日系の宗教にハマった女性のカナダへ逃げての言葉に一度は躊躇した若者は、然し乍ら初めて娼婦を抱き、童貞を捨て去ったことで自由な世の中をあらためて渇望する。その乾いた欲望を抑え込むような2人の暴力は然し乍ら、敗北を知る人間のぬくもりに溢れている。大きな不条理やシステムの矛盾に立ち向かう3人のおかしな1週間は、自由とは何かをあらためて我々に訴えかける。
じゅんP

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4.2
窃盗の罪を犯した新兵を海軍刑務所へ護送するよう命じられ、しぶしぶ任務についた2人の海軍下士官。しかし未成年の新兵が募金箱からわずか40ドルを盗もうとした罪で除隊、懲役8年もの刑に処せられることを知り、自分の置かれた状況にどこか鈍感なその(お子様)の将来を憂い…

冬のワシントン、ニューヨーク、ボストン…監獄を目指す3人の旅路はとにかくずっと曇っていて、バカみたいにふざけ合って寒空の下で震えながら缶ビール飲む彼らの行く末もまた曇っていて、先が見えずやるせない。

道中出会う、正しさに縛られた頭の固いバーの店主、都合のいい解釈で東洋思想に走るヒッピーたち、現実的に夢を売る娼館の女…つまんないシステムの中でそれぞれの方法論で生きる人々とすれ違いながら、新兵が自分の足で、自分の意思で歩くための短期集中路上教習が繰り広げられる。

3人のロードムービーは初めからゴールが決められていたけど、そして世知辛い人生のロードムービーは続くけど、その道をどーやって辿るかくらい、せめてそれくらい、自分で選ぶわ!

音楽が滑稽でまた良し!
kuroday

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3.5
個人的にはアメリカン・ニューシネマと言われる1960年代後半から1970年代にかけてアメリカで製作された中で、間違いなくベスト10に入る佳作。
ノーフォーク基地の海軍兵バダスキー(ジャック・ニコルソン)と同じく海軍兵マルホールが「40ドルを盗んで懲役8年」という未成年の兵士メドウズをポーツマス刑務所まで護送を行うロードムービー。
その護送中、未成年にも関わらずビールを飲ましたり、女を抱かせたり、ホントもう破茶滅茶な護送。
そこにはジャック・ニコルソンらしいというのも変だが、悪党でもワルでもない、だけど暴れん坊で男気とどこか温かい人間っぷりが抜群に描かれている。
牛丼狂

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4.0
どの人物も馬鹿みたいに素直で優しくて気持ちがいい。アメリカンニューシネマは、シーンひとつひとつを必然ではなくイメージで作り上げているような気がする。
TaiRa

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続編小説も映画化されたので予習も兼ねて。ジャック・ニコルソンがカンヌで男優賞貰ってるのも納得の名演。

盗みを働いた新兵を海軍刑務所まで護送する2人の海軍下士官。新兵が盗んだのはたったの40ドルなのに(しかも未遂)、8年の懲役を科せられる。司令官夫人の設置した募金箱から盗もうとしたから。それだけの理由で18歳から26歳までを刑務所でいたぶられて過ごすのだ。下士官2人は一週間の護送期間の中で彼に人生を教える。初めて酒を呑ませ、喧嘩をさせ、女を抱かせる。3人は旅をしながら友情を育む。そして終わりは呆気なく、さよならも言えずに虚しくやって来る。ジャック・ニコルソンのワルな兄貴風が堪らなく良い。ホテルで呑んだくれてランディ・クエイドに手旗信号を教えるシーンのユルさ。オーティス・ヤングが「映画観てんだから後でやれよ」と言うとカットが変わり、ちゃんと終わるまで待ってた事がわかる。ベッドをどうするかのくだりもユルい。ふらりと入った仏教コミュニティの「ナンミョーホウレンゲーキョウ」も不思議なユーモアになりつつ、お題目を唱えるしかない新兵の行き詰まりを表す。酒場で知り合った女のホームパーティーでジャック・ニコルソンが女を口説こうとする場面も面白いが、この相手の女の子がナンシー・アレンで驚く。これが彼女のデビュー作。デビューと言えば撮影のマイケル・チャップマンもこれで撮影監督に昇進した。ドキュメンタリータッチの中、叙情的なショットや艶かしい夜の撮影が素晴らしい。雪の降り積もる公園でバーベキューをする画のおかしみ。手旗信号のメッセージからの追走劇という緩急の付け方も上手い。編集出身のハル・アシュビーだけあってかオーバーラップなんかを多用した編集が印象的。
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