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さらば冬のかもめのやすteaのレビュー・感想・評価

さらば冬のかもめ(1973年製作の映画)
4.5
ジャック・ニコルソンが大好きです。
にもかかわらず、何故か観ていなかった佳作。

1970年代。
いわゆる、【アメリカン・ニューシネマ】と評される時代。
アメリカ映画史に於いて、最も革新的でエネルギッシュ、挑戦的な作品が多い。


70年代の幕開けとなる「イージー・ライダー」を皮切りに、「時計じかけのオレンジ」、「こわれゆく女」、「ダーティー・ハリー」、「ペーパー・ムーン」、「わらの犬」、映画界のドンである「ゴッド・ファーザー」や、画期的な「JAWS」だって、70年代だ。

「さらば冬のかもめ」は1973年の作品だ。

海兵隊2人が、募金箱から40$を盗もうとした水平を刑務所まで護送するという、風刺的なロードムービー。

護送される男は、純で、少しばかりオツムが弱い。
単なる任務を遂行する海兵隊2人だったが、真冬にセーラーの制服の違和感からなのか、この男への同情が湧き、友情が芽生え、親心のような気持ちになる。

務所生活を送る前に、人生の楽しさを体験させようと、ワルへの道を誘惑する(笑?)、ジャック・ニコルソンの表情たまらんね!

強面なのに愛嬌があって、自分達を取り巻く、現在への反発心からイライラする自分への苛立ちが、よく出てます。

南無阿弥陀を唱えるカルト集団的な場所を訪問し、そこから何度も発せられる、南無阿弥陀にが可笑しくて、可笑しくて。

ラストの「控え忘れてまっせ!」が、精一杯の抵抗であるが、痛快だ。

「さらば冬のかもめ」
真冬にかもめはそぐわない。
そして、かもめは1羽では見かけない。
とても粋な日本語タイトルだ。
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