香楽

母の残像の香楽のレビュー・感想・評価

母の残像(2015年製作の映画)
3.8
地味だけど、良作。

戦場カメラマンである女性イザベラが突然事故でなくなり、夫、長男、次男、夫がお互いギクシャクしながらも、喪失感を乗り越えていく話。

撮影先にしょっちゅう旅立って、家にいても疲れて眠っていたり、ほとんど家にいなかったものの、いなくなって妻として母としての存在感の大きさが見えてくる。

そのイザベラの心の葛藤のシーンが良い。
信念に従って自由に行動していた強い女性に見えたイザベラも、孤独感に苛まれていた。旅先ではホームシックになって家に帰りたくなり、家に帰ると愛し愛されている家族がいるのに居場所がないと感じる。自分の存在意義、自分の軸が分からなくなる感覚。
人間というものの根本的な淋しさを感じる。
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