ぽち

太平洋の地獄のぽちのレビュー・感想・評価

太平洋の地獄(1968年製作の映画)
4.4
文句なしの名作。

たった2人だけの出演者で、舞台も孤島、海上、通信基地の三箇所。この設定で一瞬たりとも緩む事の無い張詰めたストーリー、そして名優2人のぶつかり合い。目が離せない。

最後までお互い何を言っているのかほとんど理解しあえていないのもリアルであり、そこに人間性、文化の違いなどが凝縮される。

そして特筆するべきはラストの見事さ。
お互いの心が解らず反発が強まるのと同期して、遠くから不気味に近づく艦砲射撃の音。
2人の緊張が頂点に達したとき・・・

戦争の虚しさ、争うことの無意味さをラストの一瞬で全て表現している。ENDマークが出た後も身動きできない強烈さと余韻を残す。

DVD特典にある別エンドを選ばなかった監督のセンスが光っている。この終わりでなければ作品の意味がなくなってしまうと思う。

このようなレベルの高い作品があまり知られていないと言うことに驚いてしまうが、本当の意味での「隠れた名作」として自分の中だけに大切に取って置きたくなる作品だ。
ぽち

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