まぐこ

太平洋の地獄のまぐこのネタバレレビュー・内容・結末

太平洋の地獄(1968年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます


中盤までの攻防戦はまるでトムとジェリーのようなシュールさがあり微笑ましく思えた。
第二次世界大戦末期、日本兵とアメリカ兵は敵同士。お互い殺すべき憎き相手だが、いざとなると何故か怯んで殺すことができない不思議な関係。敵同士争い合ううちにお互いが生きる糧となっていたのかも…?

和解し協力し合うようになってからも二人は衝突し合う。島からの脱出のために作る竹のイカダの作り方でまた喧嘩してしまう。言葉が通じないため互いを説得する時、石や貝殻を使ったり砂に絵を描いたりしてなんとか伝えようとするシーンが好き。

互いを鼓舞し合いながら荒波に揉まれながらも島の脱出に成功。この頃には二人にも不思議な絆が芽生えているようで、陽に当たり辛そうにしている日本兵にアメリカ兵が日陰になるよう上着を被せるシーンは個人的にグッときた。

大きな島に到着後も二人は自分たち以外の人に会うことはできなかった。服や雑誌、酒を拝借し二人で盃を交わす。終盤には日本兵の笑顔が多く見られる。二人は戦争を超えて友人になっていたのだと思う。しかしアメリカ兵の拾った雑誌には戦争は既に終わっていること。日本は敗戦国になったこと。特攻のことなどが書かれており、それを見た日本兵は再び声を荒げ始めた。そして突然の爆発が二人を襲いエンディング…。
(2人がたどり着いた無人島は日本海軍の通信基地の廃墟であり、その後はアメリカ海軍の艦砲射撃訓練の標的に設定されていた。2人の口論中にそれが始まり、少しずつ弾着が迫り、最後に2人を直撃して終わる。→そう言われると背景で少しずつ爆撃音がしている)

敵同士の二人は何度も衝突と理解を繰り返しました。そして最後はお互いを理解できないまま終わる。どうしても分かち合えない不条理さに心が締め付けられました。

この映画には2つのエンディングがあるらしく、別エンドでは2人は口論の翌朝、お互いに敬礼し合って別々の道へいくというもの(生存エンド?)、そちらも気になるのでぜひ2回目はDVDで見ようと思います。
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