ミシェル・ゴンドリーは例えCGを使ったPVであろうと、ドキュメンタリー映画であろうと劇映画だろうと一貫して工業製品には出せない手作り感を大事にしていると思う。
大金やコンピュータに頼らずとも創意工夫で面白い物を生み出せるのだと。
もちろん大金とコンピュータもその人の創意工夫で上手く使いこなせる事も出来るのだが。
本作に出てくるあの張りぼての車はミシェル・ゴンドリーの核となるシンボル的なものだろう。
また、90年代に海外のポップミュージックに傾倒した者にとってミシェル・ゴンドリーといえばまだPVの監督のイメージが大きい。
それほどPVの名作を連発していたのだ。
本作は張りぼての車のようないかにもミシェル・ゴンドリーらしい部分もあるが、きっと誰もが微笑んでしまう愛するべき可愛らしい作品になっていて映画作家としての成長も感じられた。
14歳を過ごした男の子なら人種を問わず、あー分かる分かると共感出来たり、いいなー!と羨ましかったり、「映画」のようなドラマティックな事がほぼ起こらないのも良かった。
でも甘っちょろいだけでなくほろ苦い現実も忍ばせてるとこも。
芸は身を助けるね。