似太郎

この世界の片隅にの似太郎のレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.2
原作漫画にあった悲壮感がないね。戦争を題材にしたアニメだから変に重苦しくするとマズイ…という意向が働いたのかな。要するにイマドキの観客に「忖度」したという事か。

たしかにアニメ映画としてのクオリティは頗る高いけど鑑賞中「何だかな〜」といった腑に落ちない印象も少なからずある作品。取り敢えず主人公を演じるのんは良い。作画も素晴らしい。しかし何か「イマドキ」な描写によって観客を「釣る」魂胆というか、代理店的マーケティングを感じさせる作りなのが個人的には不満でもあった。同じ戦争を扱ったアニメ『火垂るの墓』と比べ、海外での評価が低いのもよく理解できる薄っぺらさ。

いわゆる「良識派」の観客には打って付けの映画なんだろうけど、随分若者や女性に媚びた作風なのが個人的に物凄くキモかった作品。これでは新海誠の『君の名は。』や『天気の子』と大差ないアニメになってしまう。このサイトでの大絶賛ぶりには何らかの違和感を覚えるのだが、せいぜい「良く出来た宿題」程度のレベルのものだろう。秀作とは思うが掘り下げが甘い。
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